糸を染める
主な染料
糸を染める工程にも当然、職人のこだわりが詰まります。
当社で取り扱っている絨毯は基本的に天然の染料で染められたものです。そこにこだわる理由はまず身体に害が少ないことです。小さいお子様がいらっしゃるご家庭でも安心してお使い頂けます。お子様のみならず、ペットを飼われているご家庭でも同様です。
もう一つの理由は化学染料に比べて色落ちしづらいことです。化学染料を用いると、確かに発色が良く、一度で綺麗に染まりますが、その分、色は抜けやすくなります。天然の染料は色が入りにくい為、何度も染め直して色を定着させていくことで、色が抜けにくくなります。
当社の店頭では100年以上前の絨毯も展示しておりますが、色褪せることなく、深い色味になっております。経年により、酸化することで全体の色が落着き、新品の頃とは違った雰囲気を愉しんで頂けます。
クルミの皮
クルミで染めた茶色は非常に深みを持った美しい茶色となり、ナチュラルカラーに勝るとも劣らない魅力のある色になります。
スモモ(黄)
イランは世界有数のスモモの産地です。
黄スモモの皮で染めると琥珀色のような綺麗な黄色になります。
ルバーブの根
ルバーブの名は古代ギリシャ語に由来し、その時代から栽培されてきました。ヒマラヤ山脈一帯では染料として重宝されていて、黄色の染料として欠かせないものになっています。
茜の種
この種を石臼で挽き、粉末状にして染料として使います。茜の根よりも薄い紫色になります。
ピスタチオの皮
ピスタチオの生産量でイランは世界一になったことがある程の産地で、「グリーン・ゴールド」と呼んでいます。染料としては果実の外皮を用いるのが一般的で、薄茶色に染まります。
モクセイソウ
最古の染料の一つとして考えられ、スイスの新石器時代の遺跡からも種が発見されています。
葉や茎にフラボノイドルテオリンという色素を含み、鮮やかな黄色に染めあがります。
ミョウバン
無色透明の正八面体結晶で、水に溶けやすく古代ギリシャの時代から幅広い用途で使用されてきました。媒染剤で、日光による色落ちを防いでくれ、発色も良くなります。
茜の茎
茜の茎を煮出して染料にします。茜の根よりも薄い茜色になります。
色の持つ意味
ペルシャ絨毯は、模様とモチーフで様々な意味を持ちますが、色自体にも意味が込められています。これらは産地などによって微妙に異なりますが、代表的な色の意味についてご紹介いたします。
天国の色とされ「真実」を意味します。
青
「健康と喜び」を表します。人に活力を与えてくれる色です。
赤
「神の英知」を意味する色です。
ピンク
「信仰心」と「愛国心」を表す色です。
オレンジ
「悲しみ」や「平穏」を表します。
白
預言者の上衣に使用され「不滅」を意味します。
緑
ザクロの皮
イランやパキスタンに自生しています。染料には果皮を使い、古来より黒染めの染料として良く用いられました。子孫繁栄の意味があり、柄のモチーフとしても用いられます。
スモモ
スモモは皮、実、種で染めることが出来ます。
皮を濃く煮出すと柿渋色に、種だけで染めると綺麗な桃色になります。
オリーブ
オリーブ染めは葉を使用します。葉を煮出すと15分くらいで茶色っぽい色になります。
そして煮汁に漬ける時間と回数でアースカラーのように染まります。
茜の根
様々な色に染まった糸がある中で最も重要な赤はローナス(茜科)の根で作られています。茜の由来も赤い根からです。
これを石臼で挽き、粉末状にしてから染料として用いられます。